守りたい、不器用な人。~貴方と始める最後の恋~

黙り込む山瀬さんの代わりにそっと口を開いた。


「……貴方が抱えてるモノは私には分かりません。だけど……」


辺りは真っ暗でお互いの顔すらハッキリとは見えない。
だけど、お互いの居場所は分かる。


「み、ミサキさん……?」

「私は貴方の事が知りたい。貴方が私を知ろうとしてくれているみたいに……。
私も山瀬さんの事が知りたいんです!!」


山瀬さんの手を両手で包み込み精一杯に彼を見上げる。
私の想いが彼に届く様に。


「ちょっ……ま、待ってください……そんなに近付いたら……」

「え……?」


気が付けば私と山瀬さんの体は触れ合うくらいの近さにあった。
手を握ったまま見上げる様に山瀬さんを見てる。


「ご、ごめんなさい私……!!」


必死過ぎて気が付かなかった。
こんなに傍にいるなんて……。