守りたい、不器用な人。~貴方と始める最後の恋~

「少しお時間いいですか……?」

「え? お、俺ですか!?」


山瀬さんは慌てた様に左右を見渡している。
本当に自分が言われているのか、信じられないみたいだ。


「はい。山瀬さんに」

「……だ、大丈夫です! ミサキさんの用事ならいつでもウエルカムです!!」


いつもの満面な笑顔なはずなのに、胸が苦しくて。
持っていた紙袋に力が籠ってしまう。


「……じゃあ行きましょう」

「行くって……」

「こっちです」


山瀬さんに背を向けてゆっくりと歩き出す。
状況を把握出来ていない山瀬さんは少し戸惑っていたが、それでも私の後に続いてくれる。

凄く優しい人。
だからこそ……。

山瀬さんには幸せになって欲しい。

その想いが次第に強まっていくんだ。