守りたい、不器用な人。～貴方と始める最後の恋～

会社は皆こんな物なのかな……。
飲食店と一緒にしたら駄目か、そう思い教えて貰った方へと歩き出した。


「杉下さんって……あ、いた」


見覚えのある顔を見つけて安堵をしたが、なんとも気まずい状況の時に来たみたいだ。
視線の先には杉下さんとその前に立つ2人の男性が。
後ろ姿だから顔は見えないけど。
どうやら怒られている様だ。


「……お前は仕事をなめてるのか！？」

「そ、そういう訳じゃないですけど……」


杉下さんの叫び声と男の人の震える声が響き渡っている。
そんな中で、もう1人の男が仲裁をする様に口を挟んでいた。


「ま、まあ落ち着いてください。今ならまだ間に合います。俺もフォローに入りますから……」


その声に思わず目を見開いた。
すっかりと聞き慣れた声が耳に入ってきたからだ。

まさか、と思いその背中を見つめる。
でも確証は掴めなくて立ち尽くしていれば、杉下さんの言葉が答えをくれた。


「……山瀬が言うなら……まあいい。山瀬お前には期待している、頑張ってくれ」

「……はい、頑張ります」


山瀬、という名前を聞いただけで、さっきまでの緊張が体から消えていく。
そのお蔭で、口を開く勇気が湧いてきた。


「あの……」

「み、ミサキさん！？」


私が声を掛ければ、3人の視線が一気に集まった。
中でも1番反応が大きかったのは私の名前を叫びながら固まる山瀬さんだった。