守りたい、不器用な人。~貴方と始める最後の恋~

「チーフ~……」


変な声が出るが構わずチーフを睨みつける。


「……」

「チーフ……?」


私の顔を見たまま固まった様に動かなくなるチーフ。
どうでもいいが、鼻を掴んだまま止まらないで欲しい。

もう1度呼べば、ハッとした様に鼻から手を離すと勢いよく視線を逸らした。


「……何でもねぇよ。間抜けな顔過ぎて呆れてただけだ」

「もう! チーフの馬鹿!」


ベーと、舌を突き出して歩き出す。

本当に意地悪だ。
でも、根は優しくて頼りがいがあるけど。

心の中で微笑んでいれば、後ろからチーフの声が聞こえてくる。


「藤宮商事行く時は少しは服に気を遣えよ! 浮きまくるからな!」

「わ、分かりました! ご忠告どうも!」


普通にラフな格好で行こうと思ったが、チーフに馬鹿にされるのが目に見えたので気を付けようと心に誓った。