守りたい、不器用な人。~貴方と始める最後の恋~

「ほ、本当の事って……」

「……少しでもミサキさんに関わりたくて……。
サーモンは大体ミサキさんが握ってる事に気が付いてそれで……」


照れてるのか視線は私から少し逸れている。
それでも一生懸命話している事が伝わってくる。


「……でもそれだけじゃなくて! 本当に美味しいから!
だから……気分を害さないで下さ……」

「……」

「ミサキ……さん……?」


何か喋らないと。
山瀬さんに誤解させてしまうかもしれない。

でも。
言葉が上手く出せない。

だって。


「凄く……」

「え?」

「凄く嬉しくて……なんて言っていいか……」

「う、嬉しい……?」

「はい。美味しいって言ってくれたり、私が握ったお寿司を食べたいからずっとサーモンを頼んでたって……。
そんな事言われたら嬉しくない訳ないじゃないですか……!」


口元を手で覆ってニヤけるのを必死で堪える。
でも自然に笑顔になってしまうんだ。