2人して黙っていれば急に山瀬さんは声を上げた。


「お、俺帰ります!」

「は、はい。お、お気をつけて……」


山瀬さんは勢いよく頭を下げると一目散に走り出していた。
でもある程度走ると立ち止まり、こっちを振り向いた。


「また明日!」

「あっ……」


私の返事を聞かずに彼は言い逃げをする様に走り去ってしまう。


「明日……休みなんだけどな……私……」


小さく呟いた声は誰にも届かずに消えていく。