「すみません！　私が……話そうともしなかったから……。
返せなかったんですよね……毎日お店に来て下さったのに……」

「そ、そんな謝らないで下さい……」


自分勝手な行動が本当に嫌になって目を伏せれば上から戸惑った様な声が降ってくる。
それでも顔を上げれずにいれば、山瀬さんは照れた様に笑い出した。


「……それに……ジャージを返す為に毎日通った訳ではないです」

「え……じゃあどうして……」


思わず顔を上げれば、紅くなった頬を掻きながら軽く口を尖らせる山瀬さんが目に映った。


「み、ミサキさんに会いたくて……」

「会いたくてって……その為に毎日通って……」


驚いていれば山瀬さんは深くタメ息を吐いた。
でもすぐに笑顔を浮かべてくれる。


「好きな人に会いたいって思うのは当然ですから」

「あっ……」

「……ま、まあそういう事です！　はい……」

「そ、そうですか……ありがとうございます……」


真っ赤になる山瀬さんにつられて私まで紅くなってしまう。