守りたい、不器用な人。～貴方と始める最後の恋～

「諦めたくないです。君は俺の運命だって信じてるから」

「えっ……」


一瞬にして鼓動が高鳴った。
そんな笑顔でサラッと言われたら……。
嫌でも胸が反応してしまう。


「俺って何も取り柄無いけど……気は長い方なんです！」

「いや……そういう問題じゃなくて……」


綺麗な笑顔に言葉を失くしてしまう。


「信じて貰えるまで、何年掛かっても努力します」

「山瀬さ……」

「それに！　ミサキさんの事を知ることが出来るチャンスだと思えばどれだけ時間があっても足りません！」


汚れのない笑顔は、私の胸のモヤモヤを振り払ってくれる様な……。
不思議な感じがした。


「……変わった人ですね」


思わず笑顔を浮かべてしまう。
きっと、私の本当の笑顔だ。


「か、」

「か？」

「カワウソ……」

「……はい？」


なぜ急にカワウソ？
首を傾げれば顔を真っ赤にしながら山瀬さんは空を見上げた。


「き、綺麗ですね空」

「……はいとっても」


私も空を見上げながら小さく笑った。