守りたい、不器用な人。~貴方と始める最後の恋~

「すみません……コンビニまで付き合って貰ってしまって……」

「いえ! ミサキさんと一緒に居られて嬉しいですから!」


明かりも頼りない夜道を2人並んで歩く。

特に会話もないのに山瀬さんは屈託のない笑顔を浮かべていた。
でも、緊張しているのか少し挙動不審さが垣間見れる。

不自然に開いた2人の距離がそれを物語っていた。


「……」

「……み、ミサキさんって……そのお付き合いしてる人とかいるんですか?」


震えた声が広がったと思えば、辺りは急に静まり返る。
2人の足音だけが響き渡っていた。


「い、いや! 何も知らずに告白しちゃって……迷惑かけてないかなって思っただけで!!
別に深い意味はないです!! あ、いや深い意味って言うか……いなかったら嬉しいですけど……」


沈黙に耐えきれなくなったのか凄い勢いで山瀬さんは話し出した。
街灯に照らされた彼の横顔は紅く染まっている。
必死に言葉を探す山瀬さんについ笑みを零してしまう。


「そんなに慌てなくても……」

「そ、そうですよねー……」


クスリと笑えば山瀬さんも笑ってくれる。

2人で笑い合っていれば、急に視線を逸らされた。
耳まで紅くなる山瀬さんを見ると胸が苦しくなって思わず俯いてしまう。