守りたい、不器用な人。~貴方と始める最後の恋~

心配そうなその視線に、自分が情けなくなった。

本気かどうかは分からない。
しかし、山瀬さんが私を好きだと言ってくれているのに、冷たくあしらうのは身勝手だ。

何より……大切なお客様だ。

このままじゃ駄目だ。


「……山瀬さん、少しお時間いいですか?」

「え!? は、はい勿論!」


一気に嬉しそうに緩む山瀬さんの顔。
何故か憎めなくてタメ息交じりに笑った。


***


私服に着替えて山瀬さんの所へと向かう。


「お待たせしました」

「い、いえ!! 待ってなんか!!」


思い切り首を横に振って否定をする山瀬さん。
子供っぽいその行動に笑顔が零れた。


「外……行きましょうか」

「は、はい」


山瀬さんのお会計を済ませて一緒に外へと向かう。
その途中で大将に声を掛けられる。


「海咲! プレミアム明太子アイス買って来てくれ」

「へ? それって結構遠いコンビニにしか売って……」

「頼んだぞ」


またもや有無を言わせない声にオズオズと頷いてしまった。