そう決意しているのに……。


「ミサキさん! サーモン下さい!」

「……はい、かしこまりました」


少しも笑顔を作らずサーモンの握りを作る。
それは相手が山瀬さんだからだ。


「……お待たせしました」

「ありがとうございます! いただきます!」


作り終わり山瀬さんに渡せば、幸せそうな顔で食べてくれる。

その事に関しては嬉しい。

だけど……。


『君が好きです』


あの告白が頭から離れなくて、普通に接することが出来ない。

大切なお客様に変わりはない。
それはきちんと理解しているのに……。

どうしても冷たい態度を取ってしまうんだ。