守りたい、不器用な人。~貴方と始める最後の恋~

「泣き顔も綺麗ですけど……ミサキさんの笑顔が好きです」

「も、もう……」


無邪気に笑う彼を見れば自然に笑顔になってしまう。

山瀨さんは不思議な人だ。
どんなに哀しくても、辛くても。
彼といると笑顔になれる。


「そう、そうやって笑っていてください!
その笑顔、とっても……かわ……」

「かわ……?」

「……カワウソです」

「山瀨さんっ……」


カワウソ=可愛い。
そんな方程式が私たちの間では浸透していた。

だから恥ずかしい。
顔を背ければ山瀨さんの手が優しく頬に触れる。


「ミサキさん……」

「山瀨さ……」


言葉は最後まで出されること無く宙へと消えていく。
柔らかい感触が唇を包み、逞しく大きな手が私を引き寄せた。