守りたい、不器用な人。~貴方と始める最後の恋~

思っていたことが分かったのか山瀨さんは恥ずかしそうに笑った。


「な、中々上手くいかなくて……。
やっとまともに出来たと思ったんですけど……走ったせいか悲惨なことに……。
……すみません……」


明らかに落ち込む山瀨さんの姿がいやに可愛くて。
何も言わずにお弁当箱を開けた。

”いただきます”と言うなり巻き寿司を口に運んだ。


「……」

「……」


噛む度に広がる味は、優しい味がした。

大将がくれた優しさと、チーフが教えてくれた想い。
そして、山瀨さんがくれた愛情。

全てが詰まった巻き寿司。


「美味しい……です」


思わず涙が零れてしまう。


「……ミサキさ……」


山瀨さんは戸惑ったように私に手を伸ばす。
泣きやまないと、そう思い目を擦ろうとしたが優しく手を掴まれた。