「昨日……私が……お客様に……」

「あ! うちの部長が本当にすみませんでした! 酒癖が悪くて……」


苦笑いをしながら頭を下げてくれる山瀬さん。
私は慌てて首を横に振った。


「いえ! 謝ってほしい訳じゃなくて……その……」

「ミサキさん?」

「あの時……もしかして私を助けてくれたのかなって……」

「え?」

「あ! 間違ってたらすみません! 気にしないで下さ……い」


私は何を言ってるのだろうか。
初対面にほぼ近い人に……。

恥ずかしくて俯いていれば照れ笑いする声が聞こえてくる。
恐る恐る顔を上げれば顔を真っ赤にした山瀬さんが目に映った。


「ははっ……何か恥ずかしいな……。
もっとスマートに出来れば良かったんだけど……」

「じゃあやっぱり……」

「……君の哀しそうな顔は見ていたくなかった」

「え……」


真っ直ぐな瞳が私の瞳を捕える。