「あの……」

「……やっぱり一緒に行かないか?」


冗談とも思えない真っ直ぐな瞳。

先輩と過ごした時間は本当に楽しかった。
だからこそ離れたくないし、先輩と一緒にいたいと思う気持ちもある。

でも、ハッキリと分かるのは……。


「すみません、私は……」

「待ってください!!」


私の声を遮るような大声。
そっちに目を向ければ……。


「山瀨さん!?」


息を切らしながら走ってくる山瀨さんの姿があった。


「ミサキさん! 俺やっぱり……君を諦めたくないです!
俺は……俺は君が大好きだから!」


騒がしい空港の一角がまるで舞台のようだった。
ドラマか何かのような光景に思わず固まってしまう。

茫然としていれば、いつの間にか目の前にやって来た山瀨さんが私の腕を引き寄せた。