***1週間後***


空港の椅子で1人で座っていれば聞き慣れた声が耳に入る。


「花蓮」

「拓海先輩!」

「待たせて悪い」


搭乗手続きを終えた先輩はこちらへと駆け寄ってくる。
この1週間、ずっと一緒だった先輩。
その理由は、最後のお願いにある。

先輩が私に出した”お願い”は、先輩が旅立つまでの時間を一緒に過ごす、ことだった。

今までの離れていた時間を埋めるような、濃密な時間だった。


「いえ……寂しくなりますね……」

「……そんな顔してると、無理矢理連れてくぞ」

「え!?」

「……冗談だよ、半分は」

「半分って……」


クスクスと笑っていれば先輩は何故か黙ったまま私を見ていた。
特に何を喋るわけでも無く。