濡れないようにと握りしめていた紙。
拓海先輩の連絡先が書かれていたメモ帳をもう1度握りしめて店に背を向ける。

今度、ここに帰ってくる時は……。
全てに決着を付けてから。


「……行ってきます」


小さく呟いて歩き出した。
しっかりと前を向いて。


もう迷わない。
私が進むべき道を教えてくれたのは、大将だから。