「……離してください……」

「悪いけどそれは出来ない。俺も責任感じてんだよ!」


いきなりの怒鳴り声に周囲の視線が集まってくる。
それに気が付いていないのか、その声のまま喋り続ける友達。


「君は誤解してる!」

「拓海先輩にも同じ事言われましたけど……罰ゲームで告白したんでしょ?
先輩は最初から私を好きなんかじゃ無かった、そんな誤解なんて言われなくても分かってます」

「違う! そうじゃなくて……。
確かに罰ゲームで告白したのは本当だ。だけど、罰ゲームの内容を君は誤解してるんだよ」

「罰ゲームの……内容……」


意味が分からずに言われた言葉を繰り返す。
だけどそれは無駄に終わった。

内容なんて聞かなくても分かっている。
好きでも無い人に告白をする。
そう言った類いの物だろう。
当時流行っていたものだ。
まさかそのターゲットに自分が抜擢されるとは思ってもいなかったが。


自嘲気味に笑っていれば、聞き慣れない言葉が耳に入ってくる。
それは私が思っていた物とは全く正反対のことだった。


「好きな人に告白をする。それがあの時の罰ゲームの内容だった」

「……好きな……人……」

「ああ、君は内容を誤解してただけなんだ。
拓海は最初から海咲さんの事……好きだったんだよ、今でもずっとね」


頭に入ってくるのは今まで予想もしていなかった事だった。
理解できない、したくない。

だって、理解してしまったら私は……。