”変われない”


その言葉が何よりも胸に突き刺さる。
大将はずっと私を支えてくれていた。


お前なら大丈夫だと、変われると、そう信じて……。
私をここまで見守ってきてくれた。

なのに……。


「あの時のままじゃ無い……」

「あ?」

「確かに……全部が変わったわけじゃ無いです。
だけど……あの時とは違う……」

「海咲。お前今日は……いや、暫く店に出るな」

「な、何でですか!?」

「そんな面してる奴に店に立たれると迷惑だ」


反論する暇も無く大将は扉の外へと消えていった。
追いかける気力もない。

ただその場に倒れるようにしゃがみ込んでしまう。