「お待たせしました!」

「ありがとうございます!」


山瀬さんは出来たてのお寿司を頬張ると何とも幸せそうな顔に変わる。
その笑顔が凄く嬉しかった。
自分の握ったお寿司で笑顔になってくれる人がいる。
それだけで頑張れる。


「ん~美味い!」

「ありがとうございます!」

「あっ……」

「どうなさいましたか?」

「い、いえ!」


山瀬さんは不自然なほど素早く私から視線を外しお寿司を食べている。
気にはなったが、別のお客様に呼ばれて直ぐにその事は頭から消え去った。