マグロを握り終わった私は洗い物でもしよと洗い場へ足を向けたがそこには先客がいた。
「山瀨さん!」
「……ミサキさん……」
水道の流れる音が嫌に大きく聞こえた。
その間から聞こえる山瀨さんの声は、いつものはつらつとした物では無かった。
「どうしたんですか?」
「……いえ」
無理に作った笑顔が無性に心を抉る。
そんな顔が見たいわけでは無いのに掛ける言葉がみつからない。
「えーっと……おでこ大丈夫ですか?」
迷った挙げ句話を逸らしてしまう。
心配なことに変わりは無いが何処か逃げたみたいでやりきれない気分に陥る。
「……大丈夫です。すみません迷惑ばかり掛けてしまって……」
「迷惑なんてそんな!」
「俺……失敗ばっかで……ミサキさんに格好悪い所ばかり見せて……」
「そんなこと……」
否定をしようとすれば遠くから声が聞こえてくる。
「海咲! 注文!」
それはチーフの声で、戸惑う私に『行ってください』と作った笑顔を向ける。
「……すみません」
客注を断るわけにも行かず山瀨さんに背を向けたが胸が締め付けられるように苦しくなっていく。
「山瀨さん!」
「……ミサキさん……」
水道の流れる音が嫌に大きく聞こえた。
その間から聞こえる山瀨さんの声は、いつものはつらつとした物では無かった。
「どうしたんですか?」
「……いえ」
無理に作った笑顔が無性に心を抉る。
そんな顔が見たいわけでは無いのに掛ける言葉がみつからない。
「えーっと……おでこ大丈夫ですか?」
迷った挙げ句話を逸らしてしまう。
心配なことに変わりは無いが何処か逃げたみたいでやりきれない気分に陥る。
「……大丈夫です。すみません迷惑ばかり掛けてしまって……」
「迷惑なんてそんな!」
「俺……失敗ばっかで……ミサキさんに格好悪い所ばかり見せて……」
「そんなこと……」
否定をしようとすれば遠くから声が聞こえてくる。
「海咲! 注文!」
それはチーフの声で、戸惑う私に『行ってください』と作った笑顔を向ける。
「……すみません」
客注を断るわけにも行かず山瀨さんに背を向けたが胸が締め付けられるように苦しくなっていく。


