「何でそんなに可愛いんだよっ……」


独り言とも捉えられる小さな声。
だけど聞こえてしまった私の頬は熱く染まっていく。


「や、山瀨さんの方が小悪魔じゃないですか……」

「何か言いました……?」


聞こえなかったのか首を傾げる山瀨さんからは、何処からか色気が漂っている気がした。
普段は子供みたいな純粋な笑顔を浮かべるのに、時折見せる大人びた表情に心臓が可笑しくなってしまいそうだ。


「何でも無いです!! それと……」

「ミサキさん?」

「私……山瀨さんだから……」

「え……?」

「山瀬さんだから触れられても嫌じゃ無いんです」


ハッキリと口にすれば妙に納得をした気分になっていた。

大将やチーフはともかく、出逢ったばかりの山瀨さんを受けられるのは彼の人柄のお陰だと思っていたが……。
それだけじゃない。

きっと私は……。


「ミサキさん……何を言って……」


戸惑う山瀨さんの顔を見ながら、疑問は確信へと変わっていく。