守りたい、不器用な人。~貴方と始める最後の恋~

「じゃ……じゃあ……お、お言葉に甘えて……」


震える手で鍵を出すと山瀨さんは鍵穴に鍵を差し込んだ。
カチャリと音を立てて開く鍵。


「……あ、開いた……」

「開きました……ね」


当たり前の事なのに何故か無性に嬉しくて山瀨さんの手を握った。


「み、ミサキさ……」

「入りましょう! ここが私たちの帰る場所です」

「……はい」


驚いていたみたいだったけれど、私が笑えば山瀨さんも笑ってくれる。
彼が笑顔になれば私もまた笑顔になれる。


「お帰りなさい……山瀨さん」

「ただいま……。お、お帰りなさいミサキさん」

「ただいま」


2人で中に入って小さく微笑み合う。


”ただいま”

”お帰り”

たったそれだけの言葉なのに……。
何故こんなにも幸せな気持ちになるのだろうか……。