「いらっしゃいませ、幸福寿司へようこそ」


作り慣れた営業スマイルを浮かべ、お客様を出迎える。

栄えた街の少し外れにある寿司屋。
チェーン店ではない個人の店。

だがそれなりに人気もあるし、味も抜群。

安い美味いに加え、回転寿司。
だが、注文をすれば目の前で握るスタイルだ。

他のチェーン店にも負けてはいないだろう。

そんな店で正社員として働く私は、海咲 花蓮(みさき かれん)25歳。

大学1年の時からバイトとしてこの店に勤め、卒業してからもココで働く事を決めた。


「海咲! マグロと雲丹!」

「はい、ただいま」


大将に急かされ私はお寿司を握り始める。

最初は難しかったが今となっては朝飯前だ。