「怖いくせに強がらないで……ください」

「べ、別に怖くなんか……」

「体、震えてる」


山瀬さんの言葉で初めて気が付いた。
自分の体が小刻みに震えているという事に。


「ちがっ……嫌とかじゃないんです! 恥ずかしくて……それで……」


何を言い訳しているのだろうか。
自分が惨めになって目の奥が熱くなる。


「分かってます。だけど簡単に男に気を許しちゃ駄目ですよ」

「え……」

「男って言うのは……君みたいな綺麗な心を持った人ばかりではないから」


ふわり、と私の頭をひと撫ですると山瀬さんはそっとベッドから離れた。
床に座り込む彼を見た瞬間、胸にズキリと痛みが走った。


「山瀬さん……」

「……何ですか……?」

「……山瀬さんは綺麗だと思います」

「え……」

「だから……」


続きを言おうとすればノック音が響き渡った。