「よ、予備の布団がなくて……ですね……」

「えっ……」


私の言葉で理解したのか山瀬さんはほんのりと顔を紅めた。
でもすぐに頭を大きく横に振って視線を外した。


「お、俺、ここ、ココで寝ますから大丈夫です!!」


床を指さしながら叫ぶ同然な声で言う山瀬さん。
その横顔は耳まで紅くなっていて動揺しているのが分かる。
私もそれに負けないくらい紅くなっているのだろう。
鏡を見なくても分かるくらいに顔が熱くなっていた。


「そ、それは駄目ですよ……風邪引いちゃいます!」

「で、でも……」

「山瀬さんがベッド使ってください!」

「そんな!! ミサキさんは何処で……」

「ゆ、床で……」


止められるとは分かりつつも他に寝る所がある訳ではなく……。
床を指さしながら苦笑いを浮かべた。


「それこそ駄目です! ミサキさんの部屋なんですから!」

「2人の部屋です!」


不毛な言い争いが続くがそれは私のひと言で消えて行った。