守りたい、不器用な人。～貴方と始める最後の恋～

「この事は禁句ですからね！　今でも不機嫌になっちゃうので2人とも」

「不機嫌……はい、分かりました」


山瀬さんは必死に笑いを堪えようと口元を手で覆っているが、それは無意味に近い。


「後は……特にないですかね……。住んでいるうちに慣れていくと思います。
堅苦しいルールは無いので大丈夫だと……」

「はい、大丈夫です！　ミサキさんと一緒ですから」

「……あ、ありがとうございます」


満面な笑みで言われると心が落ち着かない。
恥ずかしくて照れ笑いを浮かべていれば、山瀬さんも恥ずかしそうに頬を赤らめた。


「……」

「……」


2人で黙り込んでいれば急にノック音が響き渡った。


「は、はい」


返事をすればゆっくりと扉が開いた。
そこにいたのは不機嫌そうに顔を歪めるチーフだった。