守りたい、不器用な人。～貴方と始める最後の恋～

「あ、あの……」

「まあ……大将は言い出したら聞かないので……。私で非常に申し訳ないのですが……」

「そ、そんな！　ミサキさんと一緒の部屋なんて光栄です！！」


焦りからか大声になる山瀬さん。
恥ずかしさが募り照れ笑いをしていれば、チーフは面白くなさそうに顔を歪めた。


「……海咲に変な事したらただじゃおかねぇぞ」

「へ、変な事って……！！」


山瀬さんはチーフの言葉に大袈裟なくらいに反応するとチラリと私を見る。
数秒間眺めていたかと思ったら顔を真っ赤にさせて口をパクパクと動かしていた。


「水沢あまり山瀬をからかうなよ～」

「からかっていませんよ。忠告っす」


不機嫌そうに眉を上げながら腕を組むチーフに呆れ顔の大将。
私はそんな光景に苦笑いを浮かべる。

相変わらずの2人から顔を背けて未だ顔が真っ赤な山瀬さんに視線を向けた。


「じゃあ部屋に案内します」

「は、はい！　よ、よろしくお願いします」


アタフタしながら頭を下げる山瀬さんに笑みを返した。