守りたい、不器用な人。～貴方と始める最後の恋～

「……え？　えぇぇぇー！？」


山瀬さんの絶叫で我に返った私は大将の手を振り払い問い詰める様に顔を近付けた。


「冗談ですよね？」

「冗談じゃないな！」


がはは、と大声で笑う大将に目の前が暗くなった。
どこの世界に男女が同じ部屋で住む社宅があるというのだ。
頭を抱え込めば大きな背中が私の前に割り込んできた。


「大将、いくらなんでもそれは駄目っすよ」


それはチーフの背中だった。
チーフが私を守る様に大将に食いかかってくれる。

一筋の光が見えたが、それはすぐに消えていく。


「駄目なもんか！　俺が決めたんだからな！」


大将は豪快な笑い声を響かせながらチーフをどかすと私と山瀬さんに視線を向ける。


「それが出来ないなら……ココでは働かせないだけだ」


悪魔の様な笑顔に、私も山瀬さんも言葉を失う。