「おい、いつまで遊んでるんだ！！　感動の再会は後でやれ！！」


大将の怒号が飛び交い私と山瀬さんは離れていく。
手と手は離れたのに胸の高鳴りは治まる事は無かった。


「す、すみません大将！」


大声で謝る山瀬さんに大将はワザとらしく眉を攣り上げた。
そして、奥に向かったと思えば何かを持って店へと戻ってくる。


「ほら、さっさとこれに着替えて店に入れ！」


よく見れば大将が持っているのはうちの店の制服だった。
ご丁寧にネームプレートまである。
どうやら大将は山瀬さんが、店に来るという確信を持っていたらしい。


「は、はい！」


制服を受け取りながら山瀬さんは嬉しそうに顔を緩めた。


「海咲、更衣室に案内してやれ」

「はい」


大将に言われ案内をする事になった。
珍しいものを見るかのようにキョロキョロと辺りを見渡す山瀬さんが可愛くて1人で微笑んでいた。