守りたい、不器用な人。~貴方と始める最後の恋~

「偶々です! っと、はいどうぞ!」


山瀬さんは犬のぬいぐるみを取り出すと私に渡してくれる。


「え……でも……」


受け取る事を渋っている私に山瀬さんは柔らかく笑ったけど、すぐに困った様に眉を下げた。


「ミサキさんの為に取ったので貰ってください! それに俺が持ってても仕方がないし……」


照れ臭そうに笑ってぬいぐるみを差し出してくれた。
まだ迷っていたが、軽く笑顔を浮かべてぬいぐるみを抱きしめた。


「ありがとうございます! 大切にしますから!」

「……は、はい!」


私の言葉に反応する様に顔を紅める山瀬さんだが、何かを思い出した様に腕時計を見ていた。


「ミサキさん時間!!」

「……あ!?」


慌てて、山瀬さんが見せてくれている腕時計を覗き込む。

針は4時15分を指していた。

ココから店まで急いでも1時間は掛かる。
慌てて2人でゲームセンターを飛び出した。