「伊都乃さん。入って、入って!」

「分かりました。」

女の子か。
どうせ、また、皆と同じようように、私を虐めるのかな。

教室に入って来る足跡が、ザワザワとした空間に響く。

ふわりと揺れる軽くパーマが入った背中の辺りまでの茶髪。

手足が長く、ダサいうちの制服もかなり似合っている。

「さぁ、伊都乃さん。自己紹介を。」

「はぃ。」

小さな鈴がチリンと微かになるような、可愛らしい声だった。