辞書を忘れた。


普通なら、辞書くらい…

と思うけれど、よりによってうるさい先生。

忘れた、なんて言えば課題を出されるだろう…

それは嫌だ。

ただでさえ生徒会の仕事があるのに、課題なんてやっていたら、家でゆっくりする時間がなくなる。



借りに行くか…



「美明莉〜〜?」

1年の教室。

放課後は、用事が無い限り美明莉たちと3人で帰っている。

だから、1年の教室は意外に行き慣れている。


「浬ぃぃ〜〜!!!」

彼女は笑顔で寄ってきて、俺に抱きついてきた。

こんなのいつものことで俺は慣れているけど、周りの人からしたら、恋人のよぅに見えているのだろぅ。

まぁ、人の目なんて美明莉は、気にしないだろうけど…(笑)


「辞書貸してくれない?次使うんだー。」

美明莉は、笑顔で頷いて辞書を取りに行った。

そんな美明莉を呆れ顔で見つめる俺の弟の理久。

兄弟の仲は…

良いんじゃないか?(笑)

兄弟で仲が良い…

美明莉のおかげかな?…

「兄貴、今日一緒に帰れんの?」

美明莉が必死に辞書をロッカーから引っ張りだしているとき、理久が言ってきた。

「あぁ、帰れるよ。昨日のうちに生徒会の仕事済ませておいたから。」

「おぉーそっか、んじゃぁ〜帰り教室で待ってんな。」

「うん。迎えに来る。」

帰りの話をしていたら、美明莉が辞書を持って来てくれた。


時間がなかったから、辞書を受け取って、急いで3年の教室に帰った。