「美明莉〜〜?」

「“浬”ぃぃ〜〜!!!」



ドアのところから顔を覗かせる彼は、理久のお兄ちゃんで、私のもぅ1人の幼馴染みの “白石 浬” 。


私は、理久をほったらかして浬のほぅへ走っていき、思いっきり抱きついた。

ぎゅー〜!!

「く、苦しいよ美明莉…(笑)」

私は、えへへって笑ってから、少しして浬から離れた。


浬は、私より2つ上の3年生。

先輩てす!

頭が良くて、かっこいいし、運動も出来て、生徒会メンバーにも入っているの。

もちろん、モテる。

あ!生徒会メンバーだからといって、真面目のガリ勉メガネ…

とかではないからね!

なんと視力は2.0なの!

ちなみに、私と理久はコンタクト使用中です(笑)


「美明莉、あ、理久でもいいんだけど…」

「俺をついでのように言うなよ、兄貴。」

いつの間にか、理久は私たちの隣に来ていたらしい。

呆れたよぅに言う理久と、微笑む浬。

そんな2人を見つめる私。

仲のいい幼馴染み3人の日常って感じだなぁ…

「ハハハッ。(笑)辞書貸してくれない?次使うんだー。」

浬は、1年の教室に来た理由をやっと話してくれた。

私はニコニコしながら

「うん!いいよぉ〜!」

と言った。

急いでロッカーに入っている辞書を取り出して、浬の元に戻った。

「はい!どぉーぞ~!」

笑顔で言うと、浬も笑って…

「(笑)はい!ありがとー!」

と言ってきた。

「じゃあ美明莉、あと理久。」

「おい!兄貴!だから俺をついでのように…」

理久が呆れてさっきの台詞を言い直そうとしていると、浬はその台詞に被せて…

「授業始まるから、また放課後ね〜。」

と言って、走って3年生の教室の方へ行ってしまった。

「また後でね〜浬ぃ〜!!」

私は浬に手を振りながら見送った。



「美明莉、俺のこと忘れてねえ?」

…あ

すっかり理久の事を忘れていたよぉ~。(汗)

「ごめん(笑)えぇっと…ボタンだっけぇ?」

焦って私が言うと、理久は呆れたように

「そーでーす。」

と棒読みで言ってきた。

「わかった、わかったよ。じゃあ~チャチャッと…」

そのときだった

キーンコーンカーンコーン

「あ…チャイム…」

またしても邪魔が入ってしまった。

ガラッとドアが開き、先生が入ってきた。

理久は、チッと舌打ちをして、席に座ってしまった。

うわぁ〜…理久、機嫌悪いぃ~!

「ご、ごめんねっ!(汗)」

私はそれだけ言って自分の席に戻った。


自分の席に戻ると、加奈ちゃんは、もう席に戻ってきていて、ただいま〜と言ってきた。

私は、おかえり〜っと言って席に着いた。

すると…

あれ?

なんか、視線を感じるなぁ?

視線の方を見ると…

「…なっ、薺ちゃん?」

なんで私、薺ちゃんに睨まれているんだろぅ…

な、なにかしちゃったかなぁ…?(汗)

私は動揺していると、薺ちゃんが不意に口を開いて、無表情で言ってきた。

「次の授業、辞書使うよ。」



「きりーつ、れーい。着席ー。」



…あ

遠くで、日直の声が聞こえた。



やっ、やってしまったーーー!!!(汗)

浬に言われて、つい貸してしまったけれど…次の授業で辞書使うなんて、思ってもみなかったよぉ~…

ど、ど、どうしよう~(汗)

浬は、3年生だしぃ。

つまり、3学年の棟に行かなければいけない…

い、嫌だぁーー(汗)

でも、忘れ物扱いは嫌だしなぁ~。

あぁ〜〜…



キーンコーンカーンコーン

授業中ずぅっと考えていて、いつの間にか授業終了のチャイムが鳴っていた。

どぅ考えても答えは1つ!

私は、席を立ち大きな声で言った。

「薺ちゃん!私行ってくるねっ!」

「私に言うな。」



ですよねぇ~(笑)


私は急いで教室を出ようと走り出した。

そのとき…


「美明莉…」

理久に呼び止められた。


あぁ〜、ボタン…

「ごめんね、理久っ!ボタンは家帰ったらちゃんと直すからっ!!」

私が早口で話すと理久は続けた。

「いや、そうじゃなくて…」

理久は、まだまだ話したそぅだったけれど、私は早く行かなくちゃで…

「ごめんね、急いでいるからっ」

そぅ言って、廊下に出て、走り出した。

「あ、おい!美明莉!?まだ話が!!」

「後で聞くぅ〜」

それだけ言って、角を曲がって、3学年棟へ急いだ。



「あぁ〜あ、しっかり言えばいいのに。“俺が付いて行ってやるよ”って…」

「うるせぇよ、陵哉…」

後で、そんなこと言っていたなんて知らずに…