「あぁ〜あっ、しっかり言えばいいのに。“俺が付いて行ってやるよ”って…」

「うるせぇよ、陵哉…」





陵哉に言われた言葉は、俺の言いたい言葉そのものだった。


もっと俺を頼って欲しい。


いつからかそう思うようになってた。


3年の教室には、もちろん3年が沢山いる。


声を掛けられるのは当たり前。


きっと嫌な思いをすると思う。



それに


なんでか分からんけど


兄貴に会いに行くってのがなんか……


「やっぱり、ついていけばよかった…」

後悔したな…





トイレ行こっと…



陵哉を教室に置いて、1人でトイレに向かう。


別にトイレなんか行っても何すんだよって感じだけどな(笑)


そこからは、マジで無意識だった…


そんな俺が着いたのは…


「三学年棟…」


え!?なんで俺三学年棟にいんの!?


は!?マジで無意識なんだけど!?


そんな事考えてる今でも、足は、浬の教室に向かってた。



ヤバい…この曲がり角曲がれば、浬の教室だ…(汗)


その時、曲がり角の所でうずくまってる影を見つけた。


ん?


あれって…


!?


美明莉!?



なっ、どうしたんだよ!?なにしてんだ!?



「美明莉!?美明莉!!おい、美明莉!!!」


必死に肩を揺すってたら、美明莉が目を開けたみたいだ。


ぐ、具合が悪いのか?こいつ…


なにも言わない美明莉に、俺は


「美明莉!!大丈夫か!?」


って言った。


そんな俺に対し帰ってきた言葉は、


「なんで、ここに、いる、のぉ?」


顔も上げずに、俯きながら、必死に出した言葉だったろう。



どおしたらいいんだ?


まず、保健室だよな!?


よし、運ぶか。



その時だった、


バタンッ!!!


っと大きな音を立てて、美明莉の手から



辞書が落ちた…


「!? 美明莉!おい!しっかりしろっ!!美明莉っ!!」