泣き崩れる君。
もう、これで最後だと、知ってしまったんだね?
絶望することはないよ。
だって僕は、そうする事で、もっと幸せになれるのだから。
君と離れることで、僕はきっと幸せになれるのだから。
君が離れてくれるおかげで、僕は……。
だから、これで、最後。
僕が言ったわけじゃないけれど、君も、聞かなかったけれど。
泣き崩れる君。
もう、本当に、これで最後なんだよ。
泣き崩れる君を、救ってあげることはできない。
僕は、今までで一番甘い言葉を、君にあげた。
そして、今までで一番優しく、君を抱いた。
君のすべてを、余すところ無く愛撫した。
もう、君に触れることはできないから。
お互い、悔いの残らないように。
僕は君を、忘れたいわけじゃないから。
君の中で僕が果てると、君は、だんだん灰色に変わっていった。
はじめは指先の方から、首筋の方まで。
どうしたの?
そんなに、悲しむことはないよ。
だって、僕は君を忘れやしない。
きっと、ずっと。
本当だよ。
どうして?
もう、会うことがないから?
離れてしまうから?
考えすぎちゃいけないよ。
そんなことは、全然重要じゃないんだ。
僕たちは、会うことがなくなっても、そんなことは大したことじゃないよ。
だって、そうすることで僕は、幸せになることができるんだよ?
そのことのほうが、よっぽど重要だと思わないかい?
それとも君は、僕に、幸せになってほしくはないかい?
愛する僕に?
君は、僕が幸せでも、幸せじゃあないのかい?
それなら僕は、誰よりも君の幸せを願おう。
君が幸せになれる方法を考えよう。
ほらね。
どっちにしろ、やっぱり僕とは離れた方がいい。
だって、どんなに考えても、その為には、僕が幸せにならなければならないじゃないか。
だから、君と離れることにしたんだよ。
これで、最後にするんだよ。
君は、どんどん灰色に変わっていく。
もともとの色は、もう、わからないほど。
ねぇ、それでも僕は、君のもともとの色を覚えてるんだよ。
君が、例えば全部灰色になってしまったとしても、きっと僕だけは、君のもともとの色を、覚えてるよ。
忘れやしないよ。
こんなにも愛おしいと感じた、君の色を。
忘れられるわけないだろう?
だから、きっと、大丈夫さ。