君はただ、いつもそこにいた。
それは確かに、僕のためなんかじゃあないけれど。
それでも、そこにいてくれた。
愛しても、いいかい?
何度も聞こうとして、やめた。
答えは決まっているからね。
知ってるんだよ。
だから。
僕には、愛すべき人がいるから。
君を、愛してはいけないと。
知ってるんだよ。
君がいる。
それが、どんなに素晴らしく僕を導いてくれているのか。
そのことだけでも、どうしても伝えたくて。
君に、言葉を届けるよ。
不自然にならないように。
本当の気持ちを、伝えないように。
君の答えはいつも、予想通りで。
ほんの少し淋しくて、けれど、楽しい気持ちになるよ。
優しくて。
とても、優しくて。
どんな傷を見せても、どんな罪を告白しても、君は僕を、見えない手で抱きしめてくれる。
君は、透明。
誰にも秘密にしてるけど。
僕は知ってしまった。
僕の心に、確かにいる、君の姿を。