バランスがとれなくなった君を、僕は隣で抱きしめた。
君のかわりに、僕がバランスをとってあげるよ。
君はとっても白いのに、どうして自分を黒いと決めつけるの?
君に、見せてあげる。
本当の、黒を。
僕の背中にある黒を、ほら、見てごらん?
これが、黒だよ。
君なんて、本当に消えてしまうほど、真っ黒けだろう?
僕はずっと、自分を白いんだと思っていた。
だから、黒くなってしまった君に魅かれたんだ、と。
でも、違った。
君は自分が黒いから、僕が、似た者同士の同情で君を好きになったと思ってるかもしれないけど。
それも、違うよ。
君が、白いから。
あまりにも、白いから。
だから、魅かれたんだ。
あまりにもまぶしくて。
君を、好きにならずにいられなかったんだと思うよ。
それでも、自分は黒いと言って倒れそうになる君を。
そんな自分を蔑んで、泣いている君を。
悲しみに耐えきれなくなって、僕に涙を押しつけた君を。
それでも僕は、愛さずにはいられないんだよ。
それなら、僕が白くなろうか。
僕には、過去なんてないんだ。
かと言って、未来もない。
僕には、真っ白な今しかないんだよ?
だから、君は、僕のキャンバスに色を塗ってみればいい。
どんなにがんばっても、塗りつぶすことができないと、君はまた、泣くんだよ。
だって、君の色は、白いから。
僕のキャンバスも白いから。