僕は、壁紙を黄色に変えた。
カーテンも、ソファも、ベッドも、シーツも、全部黄色にした。
いつでも、君に、包まれていたくて。
いつでも、君に、染められていたくて。
いつでも、君に、守られていたくて。
僕の、たとえば、性欲とか、淋しさとか、苦しみなんかから、いつでも、君が、守ってくれるように。
君がそうした。
僕を、そうさせたんだよ?
それでも、君に会いたい気持ちは癒されなくて。
どうしても、君に会いたいと思ってしまって。
だって、どの黄色も、本物じゃあない。
君じゃあない。
僕は、君の黄色に会いたいんだよ。
あの、まぶしい黄色に、いつも目を細めていたいんだよ。
ねぇ、あの時のように、また笑っておくれよ。
僕の前で、笑っておくれ。
会いたい。会いたいよ。
今日もまたくり返す、昨日と同じ呪文。
そして、届くことのない、願い。
君は、僕の言葉を聞かない。
音として、耳に入れているのかもしれない。
けれど、心に届かない。
君は、僕を、ほんの少しも信じちゃいない。
ねぇ、僕はひとつも嘘なんか言っちゃあいないよ。
ダメなんだ。
君じゃなきゃあ。
君じゃなきゃ、癒されないんだよ。
君じゃなきゃ、満たされないんだよ。
君の黄色じゃなけりゃあ、それはもう、くすんでしまうんだよ。
僕の目は、君の黄色じゃなきゃ、光を感じることができないんだよ?
僕の目が見えなくなるよりも前に、どうか。
君に会いたい。
会いたい。
会いたい。
会いたいんだ。