「あたしここで待ってるから、早めに行って来てよ?」
そう言ってミコトを見送ってから、しばらく経った。
ミコトはまだ帰って来ない。
まあ、まだそんなに歩いていなかったとは言え、ここから高校まではそれなりに距離があるから、それは仕方ないだろう。
あたしは街灯の光をカサで受けながら、ぼうっと立っていた。
顔を上げるとちらちらと光を反射して白く染まった小さな雨粒が無数に落ちてゆくのが良く見える。けっこうきれいだった。
だから、雨を見ていれば退屈はしなかった。
ぼんやり空を見てから、ふと何かある気がしたのであたしは道に視線を戻して、左を見た。
(あれ?)
いつの間にか、そんなに離れた場所にはないヤナギの木の下で、誰か見知らぬ人が雨宿りをしていた。
かわいそうにカサを忘れたらしい。
けれどよくよく見ると、何だか変わった人だった。
この御時世に、色は暗くてはっきり見えないながら、無地の着物を来て柳の幹にもたれかかっている。上の空の表情でじっと立っている。
何でまたあんなところに、せめて屋根のある場所に行けば濡れないで済むのに、と思って不躾とは分かりつつもじろじろ見てしまった。
そう言ってミコトを見送ってから、しばらく経った。
ミコトはまだ帰って来ない。
まあ、まだそんなに歩いていなかったとは言え、ここから高校まではそれなりに距離があるから、それは仕方ないだろう。
あたしは街灯の光をカサで受けながら、ぼうっと立っていた。
顔を上げるとちらちらと光を反射して白く染まった小さな雨粒が無数に落ちてゆくのが良く見える。けっこうきれいだった。
だから、雨を見ていれば退屈はしなかった。
ぼんやり空を見てから、ふと何かある気がしたのであたしは道に視線を戻して、左を見た。
(あれ?)
いつの間にか、そんなに離れた場所にはないヤナギの木の下で、誰か見知らぬ人が雨宿りをしていた。
かわいそうにカサを忘れたらしい。
けれどよくよく見ると、何だか変わった人だった。
この御時世に、色は暗くてはっきり見えないながら、無地の着物を来て柳の幹にもたれかかっている。上の空の表情でじっと立っている。
何でまたあんなところに、せめて屋根のある場所に行けば濡れないで済むのに、と思って不躾とは分かりつつもじろじろ見てしまった。
