それは走り書きの小さな一文だった。
少し不思議な感じの筆跡だ。同じ高校生が書いたにしては、独特の味があった。
『イザナミノミコトを早く見つけるように』
今度はこう書かれていた。
(イザナミノミコトだって?)
あたしは隣のおさななじみを恨みがましい目でじとりと睨んだ。
「え、わたしじゃないよ!?誓って言うけど!」
ミコトは慌ててぶんぶんと手を振った。
けれどそんなに必死に言うところが、逆に何だか怪しい。
第一、『ミコト』という文字がある以上どうも無関係には思えなかった。
「あんたが書いたんじゃないの、ミ・コ・ト?」
「違うってばあっ!」
眉を八の字に下げて勢い良く否定してから、ミコトはハッとした表情になって、もしかしたら、と付け加えた。
「イザナミノミコトって、日本神話に出て来る女の人のことじゃない?」
「あー、いたねそんなの」
そういえば聞いたことがある。
詳しくは知らないけれど、イザナギノミコトと一緒にたくさん子どもを産んだ女の神様だ。
最後は、火の神であるカグツチという子どもを産む際に、大火傷をして死んでしまう。
それで、黄泉の国に渡ったイザナミノミコトを恋しく思ったイザナギノミコトが最初こそ連れ戻そうとしたが、結局黄泉の国に追い返したはずだ。
少し不思議な感じの筆跡だ。同じ高校生が書いたにしては、独特の味があった。
『イザナミノミコトを早く見つけるように』
今度はこう書かれていた。
(イザナミノミコトだって?)
あたしは隣のおさななじみを恨みがましい目でじとりと睨んだ。
「え、わたしじゃないよ!?誓って言うけど!」
ミコトは慌ててぶんぶんと手を振った。
けれどそんなに必死に言うところが、逆に何だか怪しい。
第一、『ミコト』という文字がある以上どうも無関係には思えなかった。
「あんたが書いたんじゃないの、ミ・コ・ト?」
「違うってばあっ!」
眉を八の字に下げて勢い良く否定してから、ミコトはハッとした表情になって、もしかしたら、と付け加えた。
「イザナミノミコトって、日本神話に出て来る女の人のことじゃない?」
「あー、いたねそんなの」
そういえば聞いたことがある。
詳しくは知らないけれど、イザナギノミコトと一緒にたくさん子どもを産んだ女の神様だ。
最後は、火の神であるカグツチという子どもを産む際に、大火傷をして死んでしまう。
それで、黄泉の国に渡ったイザナミノミコトを恋しく思ったイザナギノミコトが最初こそ連れ戻そうとしたが、結局黄泉の国に追い返したはずだ。
