「知らない、まだ見てないし」
「またまた照れちゃって~」
だから違うってば、と何度も言ってもミコトは「ああ、朝香にもついに春が来たんだね~」と違う世界に入ってまるでこっちの話を聞いていない。むしろ聞く気がない。
にやにやしながら、からかうような調子であたしにこう言う始末だ。
「で、誰から来たの、これ?」
「だから、分かんないの!まだ見てないって言ってるじゃん」
あたしの言葉もどこ吹く風で流しつつ、ミコトは封筒を表にしたり裏にしたりしてから、けげんな顔になる。
「これ……書いてない」
「…ほんとだ」
横から見ていても、その封筒は表面に何も書いていないことが見て取れた。
あたしはそれすら確かめていなかったから、ちょっと驚いてしまった。
出した奴どんだけ不注意なんだろう。
「ちょっと貸して、中見てみるから」
「ん」
今度はおとなしく返された。
ミコトもさすがに人の手紙の中身までは勝手に見ないらしい。
封筒はのり付けもされていなかったから、あたしは難なく手紙を取り出すことができた。
三つ折りにされた紙を封筒の上から引っ張り出し、かさかさと紙独特の乾いた音と共に手紙を開く。
「ねえ、どうだったの?」
「………なんか、ヘン」
あたしにはそれしか言えなかった。
この手紙には何だか妙なことが書かれていたのだ。
「またまた照れちゃって~」
だから違うってば、と何度も言ってもミコトは「ああ、朝香にもついに春が来たんだね~」と違う世界に入ってまるでこっちの話を聞いていない。むしろ聞く気がない。
にやにやしながら、からかうような調子であたしにこう言う始末だ。
「で、誰から来たの、これ?」
「だから、分かんないの!まだ見てないって言ってるじゃん」
あたしの言葉もどこ吹く風で流しつつ、ミコトは封筒を表にしたり裏にしたりしてから、けげんな顔になる。
「これ……書いてない」
「…ほんとだ」
横から見ていても、その封筒は表面に何も書いていないことが見て取れた。
あたしはそれすら確かめていなかったから、ちょっと驚いてしまった。
出した奴どんだけ不注意なんだろう。
「ちょっと貸して、中見てみるから」
「ん」
今度はおとなしく返された。
ミコトもさすがに人の手紙の中身までは勝手に見ないらしい。
封筒はのり付けもされていなかったから、あたしは難なく手紙を取り出すことができた。
三つ折りにされた紙を封筒の上から引っ張り出し、かさかさと紙独特の乾いた音と共に手紙を開く。
「ねえ、どうだったの?」
「………なんか、ヘン」
あたしにはそれしか言えなかった。
この手紙には何だか妙なことが書かれていたのだ。
