死神女子高生！

あ、まただ。幽霊の向こう側の景色が透けている。
さっきから実体があったりなかったり、忙しい人だ。
いや、というよりは…本当に幽霊なのか？

「そうですね…」

あたしが、何が何だか分からなくてじっと見つめている中、幽霊は難しい顔をして視線を遠くに移した。と思ったらぎょっとした風に目をみはった。

「え、なに、どうしたの？」

あたしが聞くと、幽霊はあたふた手を振ってから、しぃぃと口に人差し指を当てる。
ますます変だと思い、幽霊が見ていた方を振り返った途端。

「大丈夫か君ぃぃッ！？」
「うわっ！！」

ガシッと肩を掴まれたのでめちゃくちゃ驚いた。

「ちょっと何するんですか！…って修ちゃん！？」
「あっ、朝香か！？」

今度は違う意味で驚いた。
まさかこんな場所とタイミングで担任に会うとは思いもしなかった。

幽霊が急に慌てたのは彼が来ていたせいか。あたしが街灯に向かって話してたら別の意味で心配されるだろうから。

雨に濡れたまま、修ちゃんはあたしに向かって悄然とこうべを垂れた。

「すまなかった……まさか教え子を轢きかけるとは、教師失格だな…」

すまない、すまないと修ちゃんは深く頭を下げて何度も言う。