死神女子高生！

そもそも交通事故は不幸が重なって突発的に起こるものであって、仕掛けるようなものじゃない。
あたしは渋い顔をするが、幽霊は本気のようだった。

「自覚はないと思いますが、あなたは既に死神の仲間入りをしているんですよ」
「はあ！？」

いつの間にそんな怪しい集団の仲間になってたんだ、あたし。まだ『なります！』とか言ってないのに。
今からでもいい、全力でお断りしたい。
あ、でも地獄行きは嫌かも…。
そう葛藤するあたしの思考は、誰かの笑い声にさえぎられた。

『ふふふふ…』

幼い少女特有の高い声が、一瞬にしてその場を凍り付かせる。

声のする方を恐る恐る見るが、あたしと幽霊以外は誰もいないようだ。
不気味な事この上なかった。
どこから聞こえるのかと考えてから、はっと気がつく。

さっき水没した携帯電話が光っている。どうして、とっくに壊れたはずじゃ、と思いながらも、あたしは吸い寄せられるように携帯に手を伸ばしていた。
震える手で拾って、耳に押し当てる。

「あなた、だれ…」
「ふふ……わたし？」

笑いを含んだ声が答えた。

「わたしはメリーさん。今、桜ヶ丘高校の中にいるの」

あなたの友達と一緒に、ね。
少女はそう言ってくすくす笑った。