死神女子高生!

何故かさっきのような半透明ではなくて、雨を受けて全身びしょ濡れになっている。

あたしを引っ張ったのもこの人だろう。けど、何がどうなってるのかさっぱりだ。
特にこの人、何で実体があるようになっているのだろう。

「どうして…」
「と、聞きたいのはこっちですよ!」

あたしの独り言を遮って、幽霊は怒ったように眉を吊り上げた。

「一人で行くなんて、危ないにも程があります!」
「ごめん…」
「それに、おかしいとは思いませんでしたか?」
「え?」

何が、と聞くと幽霊は「あの電話ですよ」と真剣な顔をあたしに向ける。

「行方不明と決めるには、あまりに早すぎると思いませんか?」
「あ…」

確かにそうだ。
言われてみれば、あたしが帰って来てから一時間くらいしか経っていないんじゃないか?
冷静に考えればミコトが寄り道をするのはよくあることだし、こんなに早く行方不明と断定するのは、いくらなんでも変だ。

「じゃあ、あれは…?」
「恐らく罠ですね」

またサラッととんでもないことを…。

あたしは有名人でもお金持ちでも何でもない、ただの普通の高校生なのに、誰が好き好んであたしなんかを罠にはめると言うのか。