死神女子高生!

動けなかった。
死ぬ、と思った瞬間にヘッドライトの動きが緩慢になって、まるで映画みたいにゆっくり動く。

ああ、聞いたことがあるな。嘘か本当か知らないけど、人間は死にそうな時、生きようとして脳がものすごく早く情報を処理するから、景色がスロー再生しているようになるって噂。

短く長い時間。案外人生ってこんな簡単に終わるものなのかもしれない、と思った。

(死にたくない)
(誰か助けて)

後少しという距離であたしは来るはずの衝撃を想像して身を固くして、でも見たくもないのに目だけは車のヘッドライトに向けられていた。

そのとき、首あたりのカッターシャツのえりが何か力強いものにグイッと引っ張られた。そのまま勢い付いてふらっと尻餅を着いた瞬間、車が元の現実通りの早さに戻り、あたしのいた場所を突っ切って少し進んでから止まる。

引っ張られた時あたしの手から零れた携帯は水溜まりに水没していた。ああ、もう使えないな、これ。

一体何があったのか、茫然とあたしを助けた力のあった方を見上げる。

「良かった、間に合った」

そこには、ホッと安心したようにあたしを見る、例の幽霊が立っていた。