死神女子高生!

あたしは目を瞑った。
ミコトに何が起きたのだろう。
誰かにさらわれたとか、動けないような状況に置かれたとか。
嫌な考えばかり浮かんで、気持ちばかりがあたしを置いて先に行く。
駄目だ、はやる思考を一旦抑えなければ。落ち着いて、ゆっくり。
湿気った空気を肺に送ってから、急にぱあっと光が差したように、ある疑問が浮かんだ。

それよりもミコトはどこに行くといっていた?

そのときミコトがすぐそばで耳打ちしたみたいに、はっきりとあたしの頭の中に彼女の言葉が響いた。

――明日提出の課題、学校に置いて来ちゃった…

そうだ。ミコトはそう言った。
あたしは背筋をしゃんと伸ばして、目を開けた。

「…学校だ!」

自分を励ますように大きな声で言った。
近所迷惑かな、という考えが頭をかすめたがそんなのはどうでもいいことだ。
あたしは通学路に進もうと、狭いT字路の右に出た。
考えなしに、勢いよく走り出た。

「あ」

まさに『あっという間』だった。
そのわずかな間に、丸い光が二つあたしの前に現れて、クラクションがうるさく響く。
車だ。避けられない。
キイイ、甲高いブレーキの音。