ぱしゃん、と一際大きな水溜まりを踏んだ。
お母さんが何か言うのも振り切って、玄関に置きっ放しだった黒い傘片手に外に飛び出し、あたしはひたすら走っていた。
頭にあるのはミコトの笑顔と、ただあたしの大切なおさななじみを見つけることしか考えていなかった。
カサを持っていない方の手で携帯を掴み、すぐ着信履歴からミコトの番号を探してコールする。
コール音が何回も何回も鳴る。合間にあたしが走る音がする、車が走る音がする。
早く。早く出て。
ふっとコール音が途切れた。一言だって聞き漏らさないよう、携帯を耳にぎゅっと押し当てる。
「お掛けになった電話番号は現在電源が…」
「あーもう!!」
苛々しながら電源ボタンを連打して無理矢理通話を切った。
やっぱり出なかった。何があったのか。
もう一度掛ける。また出ない。
あたしはそこで初めて立ち止まって、携帯を持ったまま右ひざに手を当てて腰を曲げ体を安定させる。
考えなければ、とぜいぜい息を整えながら思った。
考えろ考えろ。
ざああと雨が激しくカサの表面を打つ。あたしに、早くしろ、答えはすぐそこだ、と言うように。
お母さんが何か言うのも振り切って、玄関に置きっ放しだった黒い傘片手に外に飛び出し、あたしはひたすら走っていた。
頭にあるのはミコトの笑顔と、ただあたしの大切なおさななじみを見つけることしか考えていなかった。
カサを持っていない方の手で携帯を掴み、すぐ着信履歴からミコトの番号を探してコールする。
コール音が何回も何回も鳴る。合間にあたしが走る音がする、車が走る音がする。
早く。早く出て。
ふっとコール音が途切れた。一言だって聞き漏らさないよう、携帯を耳にぎゅっと押し当てる。
「お掛けになった電話番号は現在電源が…」
「あーもう!!」
苛々しながら電源ボタンを連打して無理矢理通話を切った。
やっぱり出なかった。何があったのか。
もう一度掛ける。また出ない。
あたしはそこで初めて立ち止まって、携帯を持ったまま右ひざに手を当てて腰を曲げ体を安定させる。
考えなければ、とぜいぜい息を整えながら思った。
考えろ考えろ。
ざああと雨が激しくカサの表面を打つ。あたしに、早くしろ、答えはすぐそこだ、と言うように。
