死神女子高生!

「はあ、今の子にはあまりなじみがない言葉なんですね…嘆かわしい」
「よ、余計なお世話ですよっ!」
「分かりやすく言えば、神々の住まう天上の国、ですよ」
「あ~…天国?」
「あなたの言うテンゴクとは少し異なると思いますが、そのようなものですね」

幽霊は少し意地の悪そうな笑みを浮かべた。

「朝香さんは『地獄の沙汰も金次第』って言葉、聞いたことがありますか?」
「え……えーと、それはつまり…?」

無視したら賄賂であたしを地獄に送るってことですか?
口に出さなかったけど、あたしが引きつった表情に変わると、幽霊は爽やかに微笑んだ。

「そういうことですよ」

こいつ、虫も殺せないような顔で……。
食えない男ってこういうのを言うんだろうな、としみじみ思った。
でもこのまま引き下がるのも何だか悔しいので、あたしは気になったことを言ってみる。

「でも、地獄の反対は極楽でしょ?どうしてタカアマハラになってるの?」

大体、昔の日本には『地獄』の概念はなかったと思うんだけど。

「さあ?」
「さあ、ってあなたが言いだしたことじゃないですか!?」
「僕はあの人に言われた脅し文句を使っただけですから」