死神女子高生!

「どーすんのあんた!?それじゃ成仏できないじゃない!」

あたしは幽霊の肩を掴んでガクガク揺さぶろうとして、失敗した。
あたしの両手は空を切り、その消し切れない勢いでふらっとたたらを踏む。

ちょっとだけ幽霊を突き抜けてしまって、あたしと彼が二重になったように見えた瞬間、背筋にぞくりと悪寒が走った。

今更ながら実感したが、やはりこの人は本物の幽霊なのだな、と思った。

彼はそれを悟って素早くあたしから離れて、大丈夫ですか、と訊きながら壁にもたれかかった。

「大丈夫ですけど、あたしは!あなたは大丈夫じゃないですよね!」
「あ、でも、朝香さんに付いていけばきっと何とかなりますよ」

ほんわかと両手を合わせてにっこりする幽霊さんには悪いが、あたしと彼の間には、絶対的な前提の違いがあった。

いまだに鳥肌が立つ腕を抱くようにしながら、あたしはきっぱり告げる。

「あたしは死神代行代理人になる気なんかこれっぽっちもありません!!」

あたしの大きな声が部屋中に響き渡った後は、痛いくらいの静寂が辺りを支配した。